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バンクーバーに移住してかれこれ14年。ひょんなことから、パティシエになりました。日々のできごと、料理、もちろん、スィーツの紹介。


by ralamartin
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私の事 15

新しい職場、OOOクラブ。キッチンで働いている人が、人生の大大大先輩みたいな人ばかりで、一瞬、引きましたが・・・また、お喋りの話題も、“あと、xx年で退職だ”とか、年金の話とか、RRSP(個人積み立て年金とでも訳すのでしょうか?)の話とか・・・私はその頃、まだ20代だったし、この業界に入ってまだ1年のピュア(?)なルーキーだったので、やる気満々で来ていたのですが・・・目が点になりました・・・がっ!とにかく、ここは腹を決めてやるしかない。まだ、始まったばっかりだし・・・・シェフ・ロングを信じて、この職場のポーテンシャルを考えるようにしました。シェフ・ロングに “何をすればいいですか?”と聞くと,“とりあえず、夜のシフトの人が来るまで、Tri(そこのGardmanger:冷たい前菜とかを扱う人)のカナッペを手伝って。”と言われて、Triのところに行くと・・・“別に、ヘルプはいらないけど~。まあ、これをお皿にこういうふうに置いていって。”と言われました。こんなことを言った彼女ですが・・・後日、最初は人見知りをする人なので、私をそっけなく扱ったのだと判明(ふぅ~)。でも、仕事だったのでそんなに気にしてなかったですけどね~。後で、あっちから“気を悪くしてたらゴメンね~。”とおっしゃったので・・・。やさしいですね。Tri のカナッペも終わり、シェフ・ロングが、私の持ち場を教えてくれました。それは、クラブのファインダイニング・レストランのDinnerの部のGardmangerでした。だから、冷たい前菜やデザートが担当。その頃、クラブはパティシエが居ず・・・2人のベーカリ、しかも彼らはパンだけ作ってました。私は、その頃はまだコックだったので、もちろん、コックとして採用されました。それまでの、クラブでのレストランのデザートメニューは、クレープ・シュゼットやバナナ・フランベやチェリー・ジュビリーなどの、お客様の前でウェイターが調理するというクラッシックなスタイルだったのですが・・・シェフ・ロングはもっと今風にしたいと思っていたらしく、私が基本的なデザートの技術があるというのを知っていたので、そこのセクションに配属されたのだと思います。さっきも書きましたが、その頃は私はコックだったので、“パティシエみたいにはできないと思いますよ。”といいましたが、“いいんだよ。レストランだけだから。そんなに忙しいレストランじゃないしね。大丈夫だよ。”と言われました。“あー、じゃあ・・・。” 仕事の一部としてやっていたので、それから、昔からお菓子作りはキライではなかったので、嫌とも何も思わずやってました。料理修行の一部として。その頃の私の信念は、“シェフは何でもできなアカン!料理はもちろん、デザートだって、パンだって、どんな知識も持っとかなな!”と。だから、もちろん、一生懸命、全力疾走!今、思い出すと・・・その頃のクラブは超~~~暇だったな~。宴会もそれほどなくて・・・。Fairmontでは絶対にありえなかった休憩ももらえるし、時間ちょうどに帰れるし・・・。正直、やることがない日も多々あって、“今日も暇やったら、嫌やな~。”と職場に行ってたのを思い出します。ある日、私をビックリさせることが起きました。クラブのスーシェフに、“レストランの仕込みの準備は終わったので、バンケット(宴会)のデザートをプレーティングしていったほうがいいですか?”と聞くと、“そうだね~。そうしてくれ。”と言われたので、“デザートのメニューが、ペアー・ムース(洋ナシのムース)とありますが・・・ムースはどこですか?”と聞きました。すると、スーシェフが、“下の冷凍庫。”と言うではありませんか!自分の耳を疑いました。“はい?ムースが冷凍庫に???”と私。スーシェフ、何食わぬ顔で、“そうだよ。” それで、下の冷凍庫に行きましたが、見つかりません。“見つからないんですけど・・・”と言うと、スーシェフが、“これくらいのサイズのダンボールの箱に入ってるんだよ。”パティシエが居ないのは知ってましたが・・・どこかのケーキショップから、オーダーして作ってもらっているとてっきり思っていた私は・・・・。冷凍のムースなんて見たことがなかったし・・・ここって、会員制のお金持ちさんのクラブやんねぇ~?ちょっと、これって、おかしくないかい?と思いました。クラブは、いわゆるメンバーの方々から毎月会費をいただき、運営が成り立ってます。もちろん、私たちのお給料もその中から支払われるのです。それで、メンバーに対して、この扱いはないだろ?っと、変なところで正義感が強くなった私。その時は、“これが、ここのやり方だから、今日のところはいいけど・・・。”・・・で、次の日、早速、シェフ・ロングに“冷凍のペアー・ムースは、ちょっと・・・おかしいと思います・・・。不味くはないですけど・・・悲しいですよー。お客さんが可愛そう・・・。” いつも直球型の私はそう言いました。シェフ・ロングは“そうだね。少しづつ、変えていこうとは思ってるんだ。でも、一気に物事を変えるのは良くないから、少しずつこれから変えていくからね。忍耐忍耐。”と言われました。でも・・・変なところで納得のいかない私。やっぱり、この職業をしてる限り、自分が食べたいものをお客様に出したいじゃんか!冷凍の既製品のムースなんか、食いたくねぇ~~~。だから、“私が作くれる範囲のものなら、私、作りますよ。自分が食べたくないものは出したくありません!”と言いました。そしたら、シェフは“そうだね。”とだけおっしゃいました。冷凍庫には、まだ10箱くらい、あの既製品の洋ナシのムースがありました。私、毎日、横目で睨んでおりました。“はよ、無くなれ!”と・・・。そして、ある日、120人のディナーの宴会があり、そこに、デザートメニューで、“ティラミス”と書いてありました。ティラミスはもちろん知ってましたが・・・これも、また、冷凍の既製品を使うのかなと思ってたら、シェフが “Fumi, えらいこっちゃ!120人のティラミスだって!君が作らないといけないよ!”と言われました。新人の、しかも、コックの私。ティラミスは家で食べるようには作ったことがあるけど・・・さすがに120人分はないぞー!とちょっと焦りましたが・・・そういえば、ついこの間、変な正義感のせいで、“作れるものがあったら、私、デザートつくります!自分が食べたくないものは出したくない!”と大口を叩いていたので、また、変なプライドが働き、“女に二言は無し。やりますよ!”と言いました。でも、心の中では、“どーやって、するの?やったことないし・・・。”自信ないくせに・・・。口だけは大きいから・・・。エライことになったゾ。

つづく
私の事 15_a0136808_13142535.jpg


Fumi
by ralamartin | 2009-10-03 13:37 | 私の事